「許容時間」とは、当月・年であとどれくらい時間外労働が許されるのかを、設定した基準時間を元に算出した時間数です。
目次
当月の許容時間
当月の許容時間は、以下の手順で計算します。
特別条項年間発動回数の残りが1回以上の場合の当月許容時間
例:発動回数の基準値を6回に設定していて、年間で発動した回数が1回~5回。
計算式1
(年の時間外労働の上限時間数 - 法定休日労働を含まない時間外労働の累計時間数)≧ 月の時間外労働の上限値
→月の時間外労働の上限値が当月の許容時間となる
計算式2
(年の時間外労働の上限時間数 - 法定休日労働を含まない時間外労働の累計時間数)< 月の時間外労働の上限値
=年の時間外労働の残時間数が当月の許容時間となる
特別条項年間発動回数の残りが0回の場合の当月許容時間
例:発動回数の基準値を6回に設定していて、年間で発動した回数が6回。
計算式3
(年の時間外労働の上限時間数 - 法定休日労働を含まない時間外労働の累計時間数)≧ 一般条項の月の時間外労働の上限値
→月の時間外労働の一般条項の上限値が当月の許容時間となる
計算式4
(年の時間外労働の上限時間数 - 法定休日労働を含まない時間外労働の累計時間数)< 一般条項の月の時間外労働の上限値
→年の時間外労働の残時間数が当月の許容時間となる
※「基準値設定」で「特別条項」の基準値を設定していない場合は、【 特別条項発動回数の残りが0回 】と同様の手順で計算されます。
2~6ヶ月平均
2~6ヶ月の平均時間外労働を80時間以内に収める必要があります。
2~6ヶ月平均80時間以内となる時間数は、以下で計算されます。
計算式5
nヶ月平均80時間以内となる当月時間数 = n × 80 - (n - 1)ヶ月分の累積時間数(法定休日労働を含む)
なお、計算式1~4で計算した月の許容時間より、2~6ヶ月平均80時間以内となる時間数の方が小さい場合は、2~6ヶ月平均80時間以内となる時間数が許容時間となります。
※特別条項を設定しない場合は、一般条項の内容で計算されます。
年間の許容時間
計算式6
年の時間外労働の上限時間数 - 法定休日労働を含まない時間外労働の累計時間数
=年の時間外労働の残時間数が年間の許容時間となる
許容時間の計算例
設定内容
◆分析基準月:4月
◆ 基準値
一般条項 月:45時間 年間:360時間
特別条項 月:100時間未満 年間720時間 発動回数6回
労働時間:下表
10月(月初時点)の当月許容時間
計算式1と計算式5で算出される時間数を比較し、時間数が小さい方が当月の許容時間となります。
【計算式1】
年の時間外労働の上限時間数 720時間 - 法定休日労働を含まない時間外労働の累計時間数 305時間 = 415時間
415時間 ≧ 月の時間外労働の上限値 99時間59分(100時間未満)
【計算式5】
2~6ヶ月の平均時間外労働を80時間以内に収めるよう、10月の時間外労働の上限時間を計算します。
- 2ヶ月平均(9月)
2ヶ月 × 80時間 = 160時間
160時間 - 1ヶ月(9月)分の累積時間数(時間外労動 80時間 + 法定休日労働 8時間) = 72時間
上限72時間 - 3ヶ月平均(9月、8月)
3ヶ月 × 80時間 = 240時間
240時間 - 2ヶ月(9月、8月)分の累積時間数(時間外労働 80時間 + 35時間 + 法定休日労働 8時間)=117時間
上限117時間 - 4ヶ月平均(9月、8月、7月)
4ヶ月 × 80時間 = 320時間
320時間 ‐3ヶ月(9月、8月、7月)分の累積時間数(時間外労働 80時間 + 35時間 + 35時間 + 法定休日労働 8時間)=162時間
上限162時間 - 5ヶ月平均(9月、8月、7月、6月)
5ヶ月 × 80時間=400時間
400時間 - 4ヶ月(9月、8月、7月、6月)分の累積時間数(時間外労働 80時間 + 35時間 + 35時間+ 45時間 + 法定休日労働 8時間)= 197時間
上限197時間 - 6ヶ月平均(9月、8月、7月、6月、5月)
6ヶ月 × 80時間 = 480時間
480時間 - 5ヶ月(9月、8月、7月、6月、5月)分の累積時間数(時間外労働 80時間 + 35時間 + 35時間 + 45時間 + 60時間 + 法定休日労働 8時間 + 16時間)= 201時間
上限201時間
計算式1で算出した月の時間外労働の上限値 99時間59分(100時間未満)> 計算式5で算出した月平均の上限時間の最小値72時間(2ヶ月平均)
=月平均の最小値72時間が許容時間となる。
10月時点での年の許容時間
【計算式6】
年の時間外労働の上限時間数 720時間 - 時間外労働の累計時間数 305時間 = 年の時間外労働の残時間数 415時間が許容時間となる。
2月(月初)の許容時間
【計算式3】
2月までに、特別条項が6回(4月、5月、9月、10月、12月、1月)発動しているので、一般条項の基準値で計算します。
年の時間外労働の上限時間数 720時間 - 時間外労働の累計時間数 565時間 = 155時間
155時間 ≧ 一般条項の月の時間外労働の上限値 45時間 のため、一般条項の月の時間外労働の上限値45時間が許容時間となる。
2月時点での年の許容時間
【計算式6】
年の時間外労働の上限時間数 720時間 - 時間外労働の累計時間数 565時間 = 年の時間外労働の残時間数 155時間が許容時間となる。